『浄土の花』

Category短編物語
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浄土の池に咲く花ロータスの、五枚の花びらを握りしめて現世に誕生した人間(魂)がいた。 


鳳凰に選ばれたロータスの種(魂)は、その五枚の花びらと共に運ばれる。
人間界に新たに転生するときに、花びらは母体に残るものだった。

誕生するときに、五枚のうち何枚を握りしめて生まれるかは、前世の功徳によるもので。 


転生する魂のほとんどは、誕生した瞬間に花びらの記憶を失ってしまう。

どの花びらを掴んで生まれるかも、前世のカルマに依っていた。

稀なる五枚の花びらを掴んで生まれた魂は、現世の功徳を約束されていた。







み仏はロータスから種をとりだした。 


種と思っていたのは、人間の心臓だった。

輪廻の水辺。
転生を待つ魂の種。


理性と感情を司る種は、理性を男とし感情を女とした。

百年に一度咲くロータスが開花する水面に、一体の鳳凰が訪れ、輪廻転生の機を待つ魂を人間界の別の空へと運ぶ。

月と太陽が入れ替わる時に、雌雄一体の鳳凰が空から種を落とす。

新たな生命の誕生となる。








浄土の花ロータスの

水面を滑る天女(鳳凰)たち

水の飛沫を衣にまとい

瑠璃の調べに空を舞う

弾ける雫に選ばれた

種に転生のお告げあり

極楽の地に留まらず

輪廻の宿命絶えずに回る

魂の救済にみ仏は

五つの言葉を花に乗せ

来世の空へと送り出す























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