『無頭騎士の亡霊』
Categorygallery*短編物語

私『朝昼は仕事をして、夜は制作の日々。いったいどこから貫徹するエネルギーがわいてくるんだ?私スゲェな』
死神『エネルギーがわいてるんじゃなくて、おまえの命を削ったカスを燃やしてるだけだ。』
私『なーんだ』
死神『なんだ?それだけか?』
私『あんた邪魔』
死神『じゃ、邪魔だと?』
私『一回死にかけた私なんだから今さらって話だよ。あんた、あの時私を狩りに来ただろ。』
死神『いかにも。』
私『何故あの時、完全に仕留めなかったん?』
死神『おまえを持ち去ろうとしたとき、まだお前を呼ぶ者がおってな。』
私『へぇ。誰なんだろ』
死神『その者とはもう出会っておるぞ。奴はお前以上にふてぶてしい』
私『え、マジか。』
死神『あの時ワシが狩り損ねたお前を惜しんで、こうやって毎晩お前の首に鎌を構えている。』
私『首落とすつもりかよ。』
死神『なぁに、痛くはない。その者もワシに首を狩られた人間だった』
私『そいつ、誰?』
死神『奴は首なしの亡霊となり、世を彷徨う。』
私『自分の頭を探して?』
死神『そうだ。永遠にな』
私『どうしたらその呪いが解けるの?』
死神『ワシは肉体から魂を狩るのが仕事だ。狩られたあとの抜け殻については知らぬ。』
私『なんだか可哀想……』
死神『ひとつだけ、方法はある』
私『え?何??……ってか、あんた急に優しくね?』
死神『その者の肉体に、亡霊を帰してあげることだ。そのためにはまず失われた頭を探すことだな』
私『頭………いったい何処に』
死神『頭というのは何も肉体とは限らない。……これ以上は言えない』
私『は?意味わかんない。どういうこと?』
死神『いつかわかる。その時が来る。その亡霊と会ったときに、お前は答えを得るだろう。それまでお前を生かすことにした。………じゃあな。』
私『え?ちょっと!まだ話が……』
(完)
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