彩りの手刺繍人

名前のないもの〜無我〜
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名前のないもの〜無我〜

女は箱を開けて全てを手放した。それは羽根のように、それは蝶のように、箱から生まれる旋風と共に空高く舞い散ってしまった。箱には何もない。だけど女は感じていた。「貴方、ここにいたのね」と。箱の何かが答えた。「ずっとここにいたよ。僕は僕を形づくるものがないから皆気づかないんだ。ほとんどの人は見えるものしか信じないから僕のことなんかわからない」「僕は待っていたんだ。キミのような人をずっと。『真実』が全てを...