彩りの手刺繍人

ピエニータ

ピエニータ

目が覚めた。私は白いシーツが張ったベッドに横たわっていた。いつの間にかねむっていたんだ……。霞む視界がやがて鮮明にうつる天井には、無機質な蛍光灯の明かりがついていた。午後3時42分。今日でちょうど1ヶ月が経つ。ここに送られてきた初日は、混乱する思考を止めて、ただ現状を受け入れるしかなかった。いまは外の世界から完璧に隔離された場所に私は居る。ここに長くいては駄目だ。しかし今の私は発言すること全てを信じて...

x と y

x と y

私はy軸に建設する人間でなく、x軸に開拓する人間であると、その知人に説明したかったが、とっても面倒なので黙って笑うしかない。いつまでたっても土臭いのはそのせいである。当たり前。20代前半から腹這い人生は始まってる。0点から同時スタートした者たちに私がいたが、ほとんどの作家は+yに上昇しようとする。ところが私ときたら、動く範囲は±xだった。x軸に生きる私は円形を描いて不定間隔で回転する点のようなものなので、大...

ざーます教室

ざーます教室

ここのお紅茶、●●デパートの●●印のものざーますあらやだ、すてきざーますティーカップも、おフランスの●●デザイナーのオーダーメードざーます●●さまは、世界にお顔がひろいざーますあら、褒めすぎざーますいえいえ、いつもオシャレな●●さまにお呼ばれして嬉しいざーますあら、●●の奥様、そのイヤリングすてきざーますね、どちらのデザイナー?……………………………これ、しまむらですが、何か?あっ…………ほら💦最近のしまむらもデザインが豊富...

『創造と破壊の物語』

『創造と破壊の物語』

時はまだ天空の彼方に広がる神々の他に何も存在しない。空の下にはただ気流が渦巻き、幾重にも大河のような濁濁とした空気が混ざりあい、混沌とした世界をなしていた。創造の神が言った。「我々のいる天空には、私と破壊神、それと唯一絶対の全能の神しかいない。もし全能の神の許しを得れたなら、この足元の世界に私の持ちうる限りの知恵の種を落としてみたい……。」破壊の神は言った。「創造神よ、そなたの恣意は私の思うところと...

蟻の時間

蟻の時間

 蟻の12時間は象の水浴びの時間蟻の24時間は恐竜の一歩の時間象の涙の一滴は蟻の10日分の食料恐竜の汗の一滴は蟻の一生分の水分蟻は考えた象の涙をたくさんもらうには、象を笑わせたり泣かせたりする恐竜に汗をたくさんかかせるには、恐竜にたくさん動いてもらうしかし回転する時間軸があまりにも違うから蟻のスピードに象も恐竜も追い付けない蟻は考えたこれでは飢えて死んでしまうそうして蟻は象の鼻先で芸をするのをやめ恐...