彩りの手刺繍人

『創造と破壊の物語』

『創造と破壊の物語』

時はまだ天空の彼方に広がる神々の他に何も存在しない。空の下にはただ気流が渦巻き、幾重にも大河のような濁濁とした空気が混ざりあい、混沌とした世界をなしていた。創造の神が言った。「我々のいる天空には、私と破壊の神、それと唯一絶対の全能の神しかいない。もし全能の神の許しを得れたなら、この足元の世界に私の持ちうる限りの知恵の種を落としてみたい……。」破壊の神は言った。「創造神よ、そなたの恣意は私の思うところ...

蟻の時間

蟻の時間

 蟻の12時間は象の水浴びの時間蟻の24時間は恐竜の一歩の時間象の涙の一滴は蟻の10日分の食料恐竜の汗の一滴は蟻の一生分の水分蟻は考えた象の涙をたくさんもらうには、象を笑わせたり泣かせたりする恐竜に汗をたくさんかかせるには、恐竜にたくさん動いてもらうしかし回転する時間軸があまりにも違うから蟻のスピードに象も恐竜も追い付けない蟻は考えたこれでは飢えて死んでしまうそうして蟻は象の鼻先で芸をするのをやめ恐...

小松菜と春菊

小松菜と春菊

 小松菜「これ、お菊や」春菊「なぁに?貴方」小松菜「正月にお隣に餅でも差し上げたらどうか」春菊「あら、いいわね」小松菜「行ってくる」春菊「行ってらっしゃい」隣「おや、小松つぁんじゃないか、新年早々どうしたんだい?」小松菜「いやね、お菊が餅を持って差し上げろってんで、こうして持ってきたんだが……」隣「おー、お菊ちゃんの手作りかい。ありがてぇ、いただくよ。ところで小松つぁん、せっかくなんだ、一杯どう...